7.「おかえり」という居場所と再脱藩

自分を待っていた思いがけない言葉

「おかえり!!」

2年間の休学を経て、香川県に帰ってきたときに思いがけない言葉が僕を待っていました。それは留学前までスターバックスで働いていたときにお世話になっていた主婦の方からの言葉でした。

そのとき僕は、好きではなかった香川県も、僕にとって帰ってきて良い、居てもいい居場所なのかと思えるようになりました。だって、正直生まれとは違う地域で、だけどおかえりって言ってもらえることは不思議な気持ちになりました。

ローカルに向き合い始める

「あ、香川県って僕が帰ってきてもいい場所なんだ」

そう思い、ここからローカルに向き合い始めます。トライバルメディアハウスで半年間インターンをやっていたので、香川大学に復学して卒業までの1年間で何か面白いことができないかなと思い始めました。

その時ちょうど、「ようこそ、うどん県へ」という香川県庁が思い切った観光プロモーションをしてて、僕もそういう意味で、香川県をPRするような取り組みをできないかなあと思い初めて、「香川県Lovers」っていうFacebookを2013年頃に立ち上げました。

うどんしかないという中の人たち

香川県の人達は「香川県にはうどんしかないけん」ってめちゃ当時から言ってて。でも僕は香川県民じゃないし、なおかつ留学から帰ってきて東京で半年働いてっていう経験をしていたので、そんなことないって本当に思いました。

瀬戸内にある多島美や20分で高松港から行けてしまう島の近さ。また、カリフォルニアビーチとは違った、果てしなく穏やかな瀬戸内海。魚も安くて美味しくて住みやすい。歴史的にも弘法大使空海の影響を受けて、文化的にも非常に豊かな地域。丹下健三、安藤忠雄、草間彌生、イサム・ノグチなどの世界的なアーティスト・建築家たちの作品が日常にあること。僕にとっては毎日が本当に刺激的で、海外に出たからこそ、「香川っておもれーーー!!」ってなりました(笑)

香川の面白い人をSNSで探してみた

僕には香川県に帰ってくるきっかけになった人が2人います。

一人が、ことでんの真鍋さんです。香川県でもSNSとかインターネット使って面白いことやってる人いないかなあと思って探したところ見つけたのが香川県のローカル線ことでん「ことちゃん」のTwitterアカウントでした。

当時2012年くらいにすでに1万フォロワーを超えていて、「中の人凄すぎるやろ…」って思って、すぐさまTwitterのDM機能を使って「はじめまして!香川大学の大崎と言います!中の人にお話聞かせてください!!」って連絡したんです。

そしたらことちゃんから返信が来て「ことちゃんに中の人などいません!!」って返って来たんですよね。当時からキャラの徹底ぶりがすごいと思いましたよ(笑)

それともう一人、デザイナーのイノクマシンジさんです。ことちゃんが「取締役を紹介します」って言ってくれて紹介してくれたのが、のちに瀬戸内サニーの社外取締役になってくださったことでん社長の真鍋康正さんでした。ただ、僕は当時そもそも「取締役」っていうのがどういう人なのか知らなくて、すげー自分がやりたいこととか、好き勝手に話をしてたと思います。ただ、真鍋さんは常にフラットに僕の話を聞いてくれて、最高に楽しかった。そこから、確か卒業まで月一度はオフィスにお邪魔してお話するような関係性が続いてました。

それと真鍋さんに紹介してもらったイノクマシンジさんのオフィスにも月一度くらいのペースでお邪魔してました。イノクマさんは、まじでラブ&ピースなロックな讃岐人(笑)イノクマさんは好き勝手言ってるように聞こえて、めちゃくちゃ香川県の事やデザインの事を考えてる方でした。僕は将来香川県に帰ってきたら、この人にデザインをお願いしたいなあとこの時からずっと思っていました。(4年後、瀬戸内サニーのCIはイノクマさんにデザイン頂きました)

そんな香川県のロックな人たちとお会いながら、一緒にやってたプロジェクトの後輩たちのおかげもあって、当時はまだそこまでみんなFacebookページをやってなかったので、香川県Loversは1年間で1万ファンを超えて、四国エリアで一番ファン数が多いSNSコミュニティになりました(多分)そのプロジェクトの過程で僕はどんどん香川県が好きになっていきました。

いざ江戸・東京に脱藩ぜよ

こうやって「SNSで情報発信をする楽しさ」を身をもって経験しました。だからこそ、「それを好きな香川県でやりたい」と思い始めたのが、僕が香川県で会社を設立しようと思った背景です。ただ、この当時まだそこまで「会社を作りたい!」とか思っておらず、なんとなく自分で独立して何かやりたいなくらいにしか思っていませんでした。

ただ、東京での就職が決まっていたので、正直香川県で今すぐ起業することなどは考えていませんでした。3年くらい東京で修行してから自分で事を興したい。そう思って、香川大学卒業後、再び東京のシェアハウスに戻り、トライバルメディアハウスに新卒として入社しました。だけどそこで待っていたのは鬱になりかけた自分でした。

続きます。

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