サッカースタジアムがまちを生み、まちを変える~日本初!市民と創るスタジアム~

SnapCrab_NoName_2014-6-4_8-51-27_No-00

W杯開幕まで残り10日を切り、サッカー熱が高まってきましたね。日本代表メンバーも、香川真司選手はマンチェスターユナイテッド、本田圭祐選手はACミラン、そして長友佑都選手はインテルで活躍するなど、選手という「ソフト面」において日本は世界とも戦える位置に近づいてきたといえるのではないでしょうか。しかし、「ハード面」での発展、例えばスタジアムなどのインフラに関しては海外と比較すると、日本は大きく遅れをとっていると言われています。

サッカー、スタジアム、キャンプ、カンプノウ-485x728

 

世界のスタジアムが観客を楽しませているアイデア

では、まず具体的に世界のスタジアムにはどのような工夫があるのでしょうか。例えば、ドイツにあるフィルクスワーゲン・アレーナは、試合のチケットがあれば公共交通機関が無料で利用できます。さらに、ドイツの4部リーグのクラブは、一般客用のラウンジを用意しており、ビュッフェスタイルで食事やデザートを堪能できるサービスも用意されてます。また、スイスのクラブチームに関しては、スタジアムの地下にショッピングモールを設けており、スタジアムに来る観客だけではなく、その地域に住む住民にとって欠かせない存在となっています。また、地元企業が商談や接待で使えるように個別ラウンジを設けたりなど、サッカー以外の活用方法を見出しています。なぜこのような観客を楽しませたり、地元の市民のひとたちのための工夫がなされているのでしょうか。

 

スタジアムは、街の誇りであるという考え

2006年から2014年1月までJリーグ理事を務めた傍士銑太 氏は、日本と海外ではスタジアムを建設する際の思想が違い、「スタジアムを街の誇りとする考え方がある」と書籍「フット×ブレインの思考法 日本のサッカーが世界一になるための26の提言」で以下のように語っています。

“その街には暮らす人々にとって、日常生活の一部となるスタジアムを作らなければならない。そうした考え方さえあれば、試合が開催される週末だけでなく、平日の友好的な活用法も見えてくる。それが、人々に親近感を覚えさせる様々な工夫へとつながる。”

つまり、スタジアムを設計する際に、ただサッカーを観戦してもらう場として設計するのではなく、いかに地元の人が日常的にその場所を利用し、その場所に愛着や誇りを持ってくれるかを考えていることが海外のスタジアムからは読み取れます。そして、実は日本にも現在このような考えを取り入れたスタジアムの建設が進んでいます。

日本初!寄付金で作るガンバ大阪の新スタジアム

ガンバ大阪は、地域に暮らす人々もスタジアム建設に協力してもらい、市民とともに街の誇りを創る先進的な取り組み「みんなの寄付金でつくる日本初のスタジアム!」を行っています。

Screenshot_2

この取り組みは、ガンバ大阪と市民団体、行政、地元企業が一体となって寄付金でスタジアムを創ろうとしている取り組みです。そして驚くことに、現在約130億円の寄付金が集まっており、目標の140億円まで残り少しとなっています。ここまで寄付金が集まった大きな理由は2つあります。ひとつは、市民の要望を反映した構想です。スタジアム内にはミュージアムやファンショップ、VIPルーム、地元企業がミーティングや商談で使えるスペースなどが整備される予定です。しかしそれだけではなく、ソーラーパネルによるエネルギーの創出、災害時に人々を守る総合的な防災施設、飲食物の備蓄倉庫の設備、地域イベントで賑わいあふれる施設を設けるなど、市民の多様な要望や意見を取り入れようという考えが背景にあることがうかがえます。さらに寄付金で建設し完成したあとは、スタジアムを自治体へ寄贈してみんなが利用できる公共施設にする予定です。このように市民の要望や意見が反映されたスタジアム構想だからこそ、多くの人たちが共感しここまで寄付金が集まったのではないでしょうか。そして、もう一つが、建設過程を楽しみ親近感を持てる公共コミュニケーションです。

図1

 

 

過程を楽しみ親近感を持てる公共コミュニケーション

こういった市民参加型の施策は、オープンな情報公開が求まられるものの、どうしても堅苦しい文脈や市民が親近感をあまり持てないコミュニケーションになりがちです。しかし、この取り組みはオンラインオフラインにおける公共コミュニケーションによって住民や寄付者、サポーターに建設過程を共有し、さらにその過程を楽しみ親近感を持ってもらえるような工夫がなされています。例えば、オフラインでは建設中のスタジアムを囲む塀にサポーターや周りを散歩している方に少しでも楽しんでもらいたいという職人さんからの思いが詰まった装飾がされていたり、寄付をしてくれた人の名前がスタジアムに刻まれる特典を設けることで市民に帰属意識をもってもらったりしています。さらにはスタジアム起工式には約200人の人々が集まり記念撮影を行い、それをウェブサイトやソーシャルメディアなどのオンラインで共有し、無料で写真をダウンロードできるようにしています。おそらく、情報公開にあたり市民や寄付者、地元企業、行政などの多くの人の意識を統一するためのコミュニケーションに相当苦労したと察しますが、それ以上に多くの人たちがスタジアム建設に関わっていることを強く感じさせ、その過程をオンラインでもオフラインでも楽しく親近感を持てるように見える化させています。

Screenshot_8職人さんに装飾してもらったら鯉のぼり

Screenshot_12寄付者のネームプレートがスタジアムに刻まれます

Screenshot_9スタジアム起工式で撮影した写真、ウェブサイトからダウンロード可能

 今後、きっと、この新スタジアムが市民の中で愛着や誇りの持てる場所になることは間違いないでしょう。そして、このスタジアムができたからこそサッカー選手になりたいと思った子どもたちが増えると思います。第二の香川真司選手や本田圭祐選手のような存在が、この街から、このスタジアムから生まれ、その街を盛り上げてくれる。そんな街づくり、地域づくりができれば素敵なことだと思います。

最後まで読了頂きありがとうございます。

オオサキリューシ(大崎龍史)

Facebook : Ryushi Rocky Osaki
Twitter : ryushiosaki

 

このエントリーをはてなブックマークに追加
Share on LinkedIn
Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です