チームラボとRhizomatiksの違い:メディアアートは、人と都市の関係をどうハックするか?【後編】

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チームラボは「テクノロジー×日本美術」、ライゾマは「テクノロジー×ヒューマニティ(人間性)」という大きなアプローチの違いを知り、前回の記事ではチームラボのお話をさせていただきました。

では、本記事ではRhizomatiks(以下、ライゾマ)に迫ります。ここでは、主に真鍋大度さんが取り上げられた「プロフェッショナル仕事の流儀」や「情熱大陸」、また去年私自身が参加した地域プランナー育成ワークショップ「RADLOCAL」にて代表の斎藤精一さんにご講演いただいた内容や数多くのインタビュー記事を参考に綴らせていただきます)

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Rhizomatiks:テクノロジー×ヒューマニティ(人間性)

前回の記事のおさらいをすると、メディアアートは「最先端のテクノロジーを使った芸術」であり、チームラボは日本美術をテクノロジーを使って表現しているとお話しました。一方、ライゾマは「テクノロジー×ヒューマニティ(人間性)」を一つの幹として多くの実験、R&Dを行っています。その背景にあるのは、「Body Hack」という思想です。ライゾマの取り組みの多くはYouTubu上にアップロードされているため、そのうちのいくつかをご紹介しながら話を進めていきます。

ライゾマは新しいことを実現するための「R&D(研究開発)」を含む存在でありたいと代表の斎藤さんはおっしゃいます。(参考:地域プランナー育成ワークショップ「RADLOCAL」)そして、実験を繰り返す中で生まれた「Body Hack」という思想。それは、ライゾマの真鍋大度さんが投稿したYouTube動画が始まりだと言われています。

上の動画は、真鍋大度さんによる電気仕掛けの顔面ハックです。顔面に電気信号を流し、顔面を操るこの実験は瞬く間に世界中で拡散され、話題となりました。ここからライゾマの“人を中心とした実験”が始まります。

テクノロジーを駆使し人の歯を光らせる「PARTY IN THE MOUTH」、顔面プロジェクションマッピング「FACETRACKING HAPPY HALLOWEEN!」。また、YCAMで行われたダンスとテクノロジーを掛け合わせたパフォーマンス「Robot x Dancers x Lasers」は、私たちに人間とテクノロジーの融合を感じさせてくれます。

また、最近行われたSXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)で行われたPerfumeの演出は、YouTubeでもリアルタイム配信がされましたが、何が起こっているのかわかなかったのではないでしょうか。リアルとバーチャルを行き来する映像技術、唯一分かったのが様々な場所からの映像をリアルタイムで繋ぎ合わせていることだけでした。

昨年の紅白歌合戦のPerfumeでは、ドローンに“人間らしい”動きをプログラムし演出するだけではなく、照明技術も駆使しライトアップの役割も果たしました。まさに、ドローンの概念を変えた瞬間でもあったと思います。数年後、照明技術と撮影技術を持ったドローンが私たちの上を飛んでいる日も当たり前になっていると感じさせてくれました。(現在いろいろと問題にはなっていますが、、)

また、ライゾマは必ずしも人にフォーカスした取り組みだけをしている訳ではありません。実は企業CM制作にも携わっており、auのCM「FULL CONTROL YOUR CITY」も手がけていいます。実際に東京タワーの下で開催されたauのリアルイベントでは、きゃりーぱみゅぱみゅと一緒にアプリを使って東京タワーのライトアップを操る体験を企てました。このCMやイベントは、テクノロジーによって都市と人との関係はレスポンシブルであるものという新しい認識を与えてくれました。

また、ホンダ セナがたたき出した世界最速ラップをエンジン音と光を用いて再現したプロジェクト「Sound of Honda/Ayrton Senna 1989」。当時ホンダが開発した車載センサーからデータを分析し、「あの日のセナの走り」をよみがえらせる取り組みで、カンヌライオンズ2014では7部門でなんと15個の賞を受賞。さらに、最高賞といわれるチタニウムライオンのグランプリも獲得。

テクノロジーによって再現された当時のエンジン音と光のスピードに、涙する当時の担当エンジニアの方もいらっしゃったそうです。

チームラボとライゾマに共通すること

ここまで、チームラボとライゾマの違いについてお話をしてきました。では一方の共通点はなんでしょうか?それは、「教育事業に力を入れている」ことと「歴史について徹底的に学んでいる」ことの2つあります。

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チームラボは、プログラミングに興味がある学生のためのオンライン学習プログラム「チームラボオンラインスキルアップ」を開講。さらに将来的に内定も得られる可能性があり、優秀な人材育成に貢献しています。また、 オンラインスキルアップ課題もオンライン上で公開しており、インターネットの仕組みからウェブサイトやデータベースの作り方などが無料で公開されています。

Screen Shot 2015-05-10 at 6.14.33 PM一方のライゾマは、プログラミングやデバイスの制作の仕方についてのワークショップ「Skills」を定期的に開催。また、世界で活躍するインタラクティブ系の人達のレクチャーを酒を飲みながらやる大胆な取り組み「FLYING TOKYO」を定期的に開催し、昨年2014年に行われた特別編「SUPER FLYING TOKYO」は約300人が参加し大盛況だったといいます。

次に、「歴史を徹底的に学ぶ」ことについて、前回の記事で紹介したようにチームラボは過去の日本美術を読みとき、その上でテクノロジーで日本美術をどう表現するかに挑戦しているとお話しました。一方、ライゾマも歴史を徹底的に紐解いています。

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例えば、「Perfume JPN ツアー」でのライブ演出のため、徹底的に映像とダンスの歴史を研究したそうです。実際にそのとき研究された内容を真鍋大度さんはネット上で公開しています。

とくに、NEVERまとめに公開した「Perfume JPNツアーのための『映像とダンス』サーベイ資料」は、1600年代の舞踊の楽譜法や1800年代に発明された連続写真の技術なども研究されおり、その研究の深さに圧倒されます。ここまで映像とダンスの歴史を研究して、それよりも新しいことを見つけ出し、演出に落としこんでいたのです。Google Docsでもサーベイの内容を公開しています。

最後に

今回、私なりにチームラボとライゾマという世の中を変える新しい取り組みを行っているテクノロジー集団をご紹介しました。魅力的な両社について勉強すればするほど、テクノロジーだけではなく、その哲学や思想に惹かれます。

今後、メディアアートの先にどんな未来が作られていくのか楽しみで仕方ありません。またそんなメディアアートに関わる方々とお仕事をするきっかけがあれば、これほどワクワクすることはないと感じています。

私なりの解釈を経て本記事を執筆したため説明足らずな部分も多々あるかと思いますが、読了いただきありがとうございます。何か質問やご意見などありましたらお気軽にご連絡ください!

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Twitter:RyushiOsaki

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