【編集スパルタ塾】マーケティング戦略を裏切り、ターゲットの期待を越えられるか?-VERY今尾朝子編集長-

スクリーンショット 2017-10-09 16.13.26

前回のBRUTUS西田編集長に続き、編集スパルタ塾第二弾で講師をされたのは雑誌VERYの今尾朝子編集長。

男性の自分にとって、今までVERYを手にとることはなかったのですが、なんとなく新しくママ読者のマーケットを開拓した編集長(マーケター)という印象を持っていました。NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」にも特集されてましたね。

今尾4<画像出典>by.S

そして、今回の編集塾の今尾編集長からのお題は「VERYのキャッチフレーズ『基盤のある女性は、強く、優しく、美しい』に変わるキャッチフレーズを考える。」自分が提案したのは以下スライド。(今回も本業の合間を縫って課題を仕上げたわけですが、リサーチ含めて土日はつぶれました笑)

1980~90年代の雑誌は、欲望の塊だ

まず、提案を考える前に始めたのがVERYの過去雑誌を読み、変遷を理解すること。過去そして現在における女性の気分や感情、悩みみたいなものの文脈で読み解く。VERYの立ち位置を理解した上で、そこの延長線上にどういう言葉を置けば女性を新しい気分や感情に誘うことができるかなと。

リサーチを始めて正直びっくりしたのが、昔の雑誌はどれほど欲望の塊なんだと感じました。もうギラギラ感がありすぎて読んだらほんとフラフラします。情報がガンガンくる感じなんです。これって前回のBRUTUSのバックナンバーを調査したときと同じ感覚でした。世代によって感じ方は違うと思いますが、自分たちの世代からするとバブルという時代は相当だったんだろうなと確信しました。

新しいマーケットの創造

VERYは過去も今もですが、新しい女性マーケットを創るのが圧倒的にうまい雑誌です。例えば「シロガネーゼ」という言葉を生み出し、流行らせたのはVERYでした。ここまで強烈な社会記号を雑誌で生み出せるブランドメディアとしての強さを感じます。

そして、2000年代以降は専業主婦としての雑誌から、ワーキング主婦という時代の流れの少し先をいった新しいカテゴリーを生み出しました。さらに、今尾編集長に代わってからより一層女性目線での「理想の女性」を考え、「ママだってオシャレしたい!」という気持ちを作った雑誌になりました。結果、毎月30万部発行で8億円の広告収入を毎月生み出しています。

スクリーンショット 2017-10-09 16.09.32

<画像出典>VERYホームページよりスクリーンショット

そこで、私の提案の方向性も「新しいマーケットを創造するためのコピーを考える」という方向性で模索しました。

そして注目したのが女性のライフステージ。結婚(出産)前後で女性のステータスは大きく変わります。そのステータスが変わる結婚(出産)前後の女性が読みたくなるようなマーケットを新しく創出することができるんじゃないかなあと思いました。その上で、結婚(出産)前のステージを「ファーストプレミアム」、結婚(出産)後のステージを「セカンドプレミアム」として、「女性のための、セカンドプレミアム」というキャッチコピーを今尾編集長に提案しました。

マーケティング戦略を裏切り、ターゲットの期待を超えられるか

課題の提案後に頂いた講評の言葉。

「これが、マーケティング戦略だね。分析と戦略は素晴らしいです。ただ、AneCan世代は『セカンド』って付いた時点で読まないね。」

戦略が良くても最後のアウトプットがターゲットの期待を超えられているか、それを感じさせられました。どれだけ戦略的に考えられていても最後の言葉、最後のコミュニケーションポイントがターゲットに響かなければ意味がないと。

普段から自分の企画が面白いか、もちろん戦略の上に成り立つことが必要だが、その言葉でターゲットである女性と雑誌VERYの架け橋となっているのか。ターゲットの気持ちになりきることが重要だと。

VERYがうまいのは、「少し先にある女性のあるべき姿」を示す旗振り役として雑誌が成り立っていることです。

「あなたの企画はマーケティング戦略をいい意味で裏切り、ターゲットの期待を超えられていますか。」

自分に問い続けたいと思います。

 

<アイキャッチ画像>VERYホームページよりスクリーンショット

このエントリーをはてなブックマークに追加
Share on LinkedIn
[`evernote` not found]
Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です