【国内事例】ドラマやアニメによるまちづくり~まちへの期待感に変えるチカラ~

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今年のゴールデンウィークは、みなさんいかがお過ごしだったでしょうか?FacebookやTwitterのタイムラインは旅行中の友人投稿でいっぱい。なんだかどこにも出かけていない自分にむなしい感情を抱いた方もいらっしゃるのではないでしょうか(笑)そんな今年のゴールデンウィークにおいて、Twitter上でも盛り上がりをみせていた「聖地巡礼」という言葉を切り口としたドラマやアニメによるまちづくりの事例をご紹介します。

聖地巡礼とは

聖地巡礼とは、漫画やアニメなどのファンが、自身の好きな漫画やアニメに縁のある土地を“聖地”と呼び、実際に訪れることをいいます。しかしここ数年、アニメファンだけでなく、一般の人たちもドラマや映画のロケ地に訪れることを「聖地巡礼」と呼ぶようになり、社会的に一般化しつつあります。その背景には、「あまちゃん」や「黒田官兵衛」などの人気ドラマの後押し、ファンの間でのネット上での情報交換が考えられるでしょう。実際、ホットリンクの記事によると、2011年を基準として「聖地巡礼」と「旅行」という言葉を比較したときに、2年の間に約2倍のツイート数に増加し、増加比率において「旅行」を上回っています。

haru_hotlink聖地巡礼”および”旅行”に関する1日あたりツイート数の時系列推移

聖地巡礼の始まり

ここからはドラマではなく、アニメに限定して綴りたいと思います。聖地巡礼の始まりは、平成19年に放送された「らき☆すた」と言われています。同アニメに登場する神社のモデルとなったのは埼玉県鷲宮町(現久喜市)の鷲宮神社。同神社の初詣客は、平成19年の13万人に対し、放映直後の平成20年には30万人、そして今年2014年は47万人と大幅に増加しました。msn産経ニュース「アニメ、マンガ、小説…「聖地巡礼」熱い視線 学会注目、新しい観光概念も」

その後も、2012~2013年放送された「ガールズ&パンツァー」の舞台地、茨城県大洗町で毎年開催されているイベント「あんこう祭り」では、12年には6万人、13年には10万人を集めました。2011年3月の東日本大震災で大洗は津波の打撃を受け、風評被害も伴ってその年のあんこう祭の集客が心配されましたが、震災前と変わらぬ来場客数を記録しました。

maxresdefaultあんこう祭りの様子(source : area510.blog39.fc2.com

アニメによって地域のファンを育てた地域「富山県南砺市」

まちを知ってもらったり、興味を持ってらもうためにアニメができることは多いと感じるでしょう。しかし実際のところ、自治体や地域起点で始まったものは少ないというのが現状です。製作コストを抑えるために現実の世界を撮影し、撮影した映像をアニメの中に落とし込んで背景映像の制作費を削減。それがたまたまその地域だったというアニメが多数だそうです。そういう現状の中、限定富山県南砺市にあるアニメーション制作会社「P.A.WARKS」は、地域発信のアニメ製作を行っています。

e0304702_17555249The source : sinkirouno.exblog.jp

ところが、P.A.WARKSは地域プロモーションの一環としてアニメ制作を行っていません。P.A.WARKS専務取締役の菊池氏は、アニメビジエンス「アニメ×地域活性化大特集2」の中で以下のようなスタンスで製作を行っているとインタビューに答えています。

「大切なのは、見る人に喜んでいただける物語。その舞台がたまたま南砺市だったと思ってください(中略)アニメファンは、舞台となった場所にやってくるのではない。彼らの目的は、物語の世界を自分の目で見ること。

地方自治体は、地域の観光資源を存分に伝えたいという思いがあります。そこで、「地域の良さをアニメで伝えよう!そうすれば若者も興味を持ってくれる!」という短絡的な思考でアニメを使った観光動画を作りがちです。しかし、「私たちの地域、こんなにいい場所なんだよ!」という文脈が強い観光紹介動画に、違和感を感じることはないでしょうか。人は一方的なコミュニケーションに共感したり、感動したりはしません。そんな中、現場であるアニメ制作会社は、アニメファンの人たちが喜んでくれたり好いてくれたりする映像を製作したいという思いがあります。その両者の間に生じるギャップを調整する「地域コーディネーター」の存在が今後不可欠であると菊池氏は述べています。そして地域コーディネーターは、「制作会社」、「自治体」の間を保つだけではなく、「地域住民」と「アニメファン」との関係性もコーディネートしていく必要性があるのではないでしょうか。

アニメファンの人たちは、圧倒的な熱量や期待感を持ってその地域に訪れます。そのとき自治体は、アニメに対する圧倒的な熱量や期待感をいかにその地域やまちへの熱量や期待感に転換させるかを考えることが重要です。そのためには、まず地域住民がアニメファンを受け入れることが大前提になってきます。「おもてなしの心」や「アニメファンの心の琴線に触れるようなモノやコト」をまちに準備しておく。それだけで、まちにはアニメファンを受け入れる雰囲気が醸成され、アニメファンの人たちはその地域が一気に好きになるのではないでしょうか。菊池氏が述べたようにアニメファンは、その地域やまちを観光するためにその土地に訪れるわけではありません。アニメファンの人たちは、そのまちに擬似的体験をしにその場所に訪れ、一人の主人公としてそのまちを歩いて回ります。そのときに出会う通行人でさえ、彼らにとってはある種アニメの中の役者であり、彼らのアニメストーリーをオモシロくさせる存在なのです。アニメファンの人たちの話を聞いていると、まさに何に出会うかわからないまちへの期待感を彼らは感じ取っているように思います。それは、ドラマファンにとっても同じことが言えます。

地域にオカネが落ちればそれだけでいいのか

アニメやドラマの関連グッズが売れて、その地域にオカネが落ちればいい。そう考えることも間違ってはいません。しかし、短期的にその地域にオカネが落ちるだけではなく定期的、長期的にその地域にオカネが落ちることの方が重要です。そのために、その地域のファンを作ることで、定期的にその地域を訪れてもらえる、もしくは住んでもらえる。そこまで人を動かす力はアニメやドラマにはあると私は感じます。まずは、地域のファンを住民と一緒にどう作っていくか。地域住民主語の「地域づくり」や「まちづくり」はまだ始まったばかりなのではないでしょうか。

 

大崎龍史(おおさきりゅうし)

Facebook : Ryushi Rocky Osaki

Twitter : ryushiosaki

 

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