最先端の観光キャンペーンから読み解く共通点【前編】

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大型バスに乗り、観光名所を巡る。観光ガイドからありきたりな説明を受け、写真を撮ったらバスに戻って、さあ次の目的地へ。

私を含め今の若い人たちは、きっとそんな観光スタイルに一種のダサさを感じているのではないでしょうか。だからこそ、地元の人が企画してくれる着地型観光が人気を呼んでいるのでしょう。そんな時代の流れがある中、最近ではどういった観光キャンペーンが日本や海外で展開されているのでしょうか?その潮流に迫ります。

国民が情報発信者になるアンバサダープログラム「Curator of Sweden」

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スウェーデン政府観光局が行ったアンバサダープログラム。スウェーデン国民に情報発信者になってもらい、世界に向けてスウェーデンの魅力を発信してもらう取り組みで、1週間の交代制で国民がTwアカウントを運営。

情報発信者になるための応募は他薦のみ。選ばれた人は、スウェーデンの魅力や、おすすめスポット、自分の言いたいことなどを自由に発信できます。このキャンペーンのすごいところは、炎上の可能性があるのを理解した上で、あえて投稿内容の検閲をしない方針を貫いたところです。

スウェーデンの公式観光プロモーション期間「Visit Sweden」の代表は、「スウェーデンというブランドの所有者は、国民であり、それ以外の何者でもない。今回のキャンペーンで、各自がそれぞれのスウェーデンを世界に示してくれればと思う。」というスタンスをとりました。(情報元:アメーバニュース

キャンペーンの効果は、6週間で世界の120ヵ国から28.000人のフォロワー。ツイート9000以上、リツイート7800以上で。21の国と都市が即座に模倣。また世界中の主要メディアに取り上げられ、PR換算効果は約1900万ドルとなったそうです。

「みんなで作る!オーストラリア ソーシャルガイドブック」キャンペーン

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オーストラリア政府観光局によってFacebookページ上で展開されたガイドブックをつくるキャンペーン。

オーストラリアを旅したことのあるユーザーにオーストラリアの魅力を写真や文章で表現してもらい、それらを豊富に盛り込んだガイドブックを作成。マップやレストランメニューの一覧も掲載され、本格的なトラベル雑誌の仕上がりになっています。キャンペーン中、ユーザーからの投稿は約1,800件にも登ったそう。キャンペーン後、ガイドブックはWEB上で無料でダウンロードでき実際に使ってもらうための工夫もされていました。

このキャンペーンのポイントは、ユーザーから投稿してもらった写真や文章を本にするインセンティブを設けている点、さらにはユーザーからの情報を魅力的に見せるためにコンテンツの完成度が高く、実際に利用できるガイドブックを作成している点です。

LINEを活用した市民参加型SNS運用(兵庫県丹波市)

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こちらは観光とは少し違いますが、参考になると考えご紹介。LINE@のクーポンを活用し、市民参加型の取り組みを積極的に行っている兵庫県丹波市。当たりのクーポンが届いた人の中から「広報誌の表紙を飾れる権利」や「世界最短、3時間だけ市長になれる権利」がプレゼントされる取り組みを実施。

他SNSでも、Facebookページにて校歌をワンフレーズごとにコメントしてもらい、みんなで校歌を完成させる企画を実施。また、流行した「恋するフォーチュンクッキー」の企画にもFacebook上で参加を募集。結果、参加希望者が約700人にのぼり、市民100人に1人の参加率となったことから、市民参加型の取り組みの成果が顕著に現れています。

割引のためのクーポンではなく、市民を巻き込むためのクーポンとしての活用は、観光地への誘致を目的とする施策を行う際に参考になります。その際、「楽しそう!参加したい!」という市民の感情を喚起し、まちへの関心関与を促すことが重要だといえるのではないでしょうか。

観光地訪問を目的としたIngressの活用

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青と緑の陣営に分かれ、現実の地図と連動したCF(陣地)を作り合うIngress。神奈川県横須賀市は昨年12月に特設サイトを開設。ゲームをするために島に訪れてもらおうと考え、チケット売り場でスマホのイングレスの画面を見せれば東京湾に浮かぶ猿島行きの船の運賃が半額になるそうです。(情報元 : 朝日新聞

また、岩手県では昨年に県庁職員の有志が「イングレス活用研究会」を結成。盛岡市内を歩きながら新しい拠点を申請するイベントも企画したそう。他にも、広島平和記念公園に「折り鶴」のIngressアートを描く取り組みが行われています。

こういった取り組みは海外でも展開され、 イギリスでは追悼式を盛り上げるためにユーザーが協力。国土に巨大ユニオンジャックと戦没者追悼のシンボルであるポピーの花を出現させ、追悼式を盛り上げました。

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国や地域として重要な出来事を盛り上げたいときの話題作りの1つになる、またユーザーにその場所に訪れることを促すことができ参加型のイベントを実施することができるのがIngressの活用のポイントではないでしょうか?ただ、個人的にIngressブームもおそらくここ1年以内だと思います。ゲームにあまり変化がないため途中で飽きてしまうというユーザーの声を聞くあたり、一過性のツールだという印象があります。ただGoogleが次のへ展開を考えているのであれば話は別ですが、今後の動向に注目です。

マスメディア型観光、フェス型観光とは?

次回のブログでは、ここで紹介したキャンペーンの共通点について読み解き、観光キャンペーンだけではなくもっと大きな枠組みの「観光」のお話をできればと思います。また、デザイン活動家ナガオカケンメイさんの言葉をお借りしながら「時代はマスメディア型観光からフェス型観光へ」の核心にせまっていきます。

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