宮崎県小林市の移住PR動画がバズった本当の理由:人気NHK朝ドラ「あまちゃん」との共通点

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「龍馬伝」、「黒田勘兵衛」、「あまちゃん」。

NHKの大河ドラマや朝ドラの影響は大きく、次にどこの地方が舞台になるかという話題が常に話題になり、「まち起こし」の大きなきっかけとして注目されていることはみなさんも知っていると思います。そして、そのドラマを盛り上げるのに重要なのが「方言」であることも、なんとなくみんな気づいています。では、今回は「方言」の切り口で流行っている移住PR動画をピックアップ。

なぜ宮崎県小林市PR動画はバズったのか?

さっそく本題。最近バズっていた宮崎県小林市の移住促進PRムービー。

知っていること前提でお話しますが、この動画の主人公のフランス人はフランス語で地域の良さを話しているように見せておいて、実は小林市の方言「西諸弁」でバリバリ訛って話をしていたという驚きのオチ。まさに「じぇじぇじぇ」。

 

でも、なぜ私たちは騙されてしまったのでしょうか?そこには方言が持つその地域「らしさ」が関係しています。地域と方言は非常に強い結びつきにあります。地方出身の人は東京に出てくると、話している言葉でどこ出身か当てられた記憶はないでしょうか?

そして、関西弁を話す人は話が面白いというイメージ、土佐弁を話す人は男気溢れる志が高いイメージというように、方言と地域性は強く結びついています。
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また、大阪大学大学院文学研究科の金水敏教授は面白い実験をしています。次の文章を読んだときに、それぞれどういった人物を思い浮かべますか?

1. 「せや、おれが知っとるで!」
2. 「あら、そうよ、私が知っておりますわ。」
3. 「おお、そうじゃ、わしが知っておるんじゃ」

きっと、1.関西人の男の人、2.育ちがいいお嬢様、3.おじいちゃん、といった人物がきっと連想されると思います。このように方言には「○○らしさ」という地域性が私たちの意識のなかに植えつけられています。

一方、例えばもし、ひげを生やしたおじいちゃんに道を尋ねたときに、「あらあら、それなら私が知っておりますわ」と言っていたら非常に気持ち悪いというか、お笑いになりますよね?(笑)それと同じことが宮崎県小林市の動画にも要素として含まれています。

しかし、外国人の人で、どれだけ日本語が上手になってもこういう問題を出すと60%くらいしか答えられないそう。ちなみに、5、6歳の子だとほぼ正解することができるとか。つまり、日本の文化の中で育ってないとわからないわけです。

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小林市のPRムービーに話を戻すと、この動画を見て私たちはフランス人に対してもっている「高貴でお洒落」というイメージを先入観として持ったまま動画を見ました。

しかし、実際はなんとフランス語ではなく地方の超訛った方言であったというギャップに笑いが起きる仕掛けになっています。つまり、下図のように「地域=方言らしさ」のなかにフランス語という外国語を加えることでギャップを生み出すことに成功しました。

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そして、聞きなおすために2回も再生したくなる仕掛けであるため、PVも2倍に伸びるという巧みっぷり。ちなみに、この宮崎県小林市は他にも面白い動画を配信しています。「西諸弁ワカール予備校」という以下のYouTube動画も最高に面白いです。

あまちゃんが方言と標準語の新しい扉を開く

この移住PRムービーを見たときに気づいたことがあります。それは、方言をあやつることで、地域のイメージを変えることができると。その代表的な例が、2013年に大ブレイクしたNHK朝ドラ「あまちゃん」だと思います。

あまちゃんは、方言の立ち位置を新しくしてくれました。あまちゃんのなかには、多様な方言が出てきます。岩手弁、土佐弁、関西弁、琉球方言、佐賀弁、そして標準語。あまちゃんは、それらの方言をシーンによって使い分けている新しい方言の使い方をしています。

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ドラマ当初、東京から岩手に移住してきた主人公アキは標準語を話していました。しかし、おばあちゃんに出会うと心を許したかのように岩手弁を話すようになりました。しかし、親の春子にすぐに「な~に、急になまっちゃって」とツッコミを入れられ、「インチキ東北人」と自分自身で揶揄するほどのエセ東北弁ぷり。まるで、方言をコスプレしたかのよう。

また、自分が追い詰められて悲しい思いをするときは「標準語」に戻ったり、アキの憧れの存在である種市先輩とのラブシーンでは「開国ぜよ!夜明けが来たぜよ!」と土佐弁を使いこなし男らしさを感じさせるというように、シーンによってキャラクターのアイデンティティを作っていくために、方言を使い分けています。

そして、最終的に岩手弁が彼女にとってのアイデンティティであり、つまり東京生まれである彼女がハードルを超えて「地元=岩手県」という立ち位置を作り上げ、地元大好き少女として成長していく姿に多くの人が涙します。そして、主人公天野アキは本当の意味でアイドルになり、方言を身にまとったコスプレによって、天野アキと岩手県のイメージをつなぎ人々を魅了しました

宮崎県小林市の動画も、フランス人が方言を身にまとい自在に操るという方言コスプレをしました、私たちの先入観を活かしながら。今後、こういったように方言をコスプレしていく中で地域のイメージを確立していくストーリー作りは広がっていくのでしょうか。

Introduction:大崎リューシ

Facebook:Ryushi Rocky Osaki
Twitter:RyushiOsaki

 

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