4年後に向けて~W杯の地、ブラジルから学ぶデジタルメディアを活用したまちづくり~

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2014年6月23日、ブラジルW杯グループリーグにて日本代表はコロンビアに1-4と大敗し、日本のW杯は幕を閉じました。世界との差は縮まっていない。そう感じさせられた本大会だったのではないでしょうか。

そしてW杯開催の地ブラジルでは、開催前から治安の悪さを取り上げたニュースが流れたり、市民の不安や不満の声が上がりデモが行われたりしていました。しかしそんなブラジルだからこそ、まちを良くしようというデジタルメディアを活用した取り組みが行われています。

 

市民の声を拾い上げる取り組み

あなたが住んでいるまちに対して、「もっとこうだったらいいのに」、「もっとこうだったら足を運ぶのに」と思うことはありませんか。そう思っていても誰に伝えたらいいのかわからない。そういった市民の不満やアイデアを投稿できるアプリ「Colab」をブラジルの自治体が導入しています。

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例えば、あなたがまちを歩いていてゴミの不法投棄を見つけたとします。その写真をとってその場所とコメントを投稿することにより、自治体はアプリでその問題を知ることができます。実際、ブラジルのあるまちでマナーの悪い駐車違反の車が原因で、目の見えない市民が車道を歩かざるを得なくなっていた状況がありました。その状況を見かねた市民がColabに写真を投稿したことで、行政が駐車違反を重点的に取り締まるようになったそうです。(引用:Greenz.jp 記事

22図1

そして現在はワールドカップ関連の「空港」「交通」「スタジアム」などのカテゴリーを新しく設定しています。実際にアプリを使ってみましたが、シンプルなデザインで老若男女問わず非常に使いやすいUI(ユーザーインターフェイス)だと感じました。また、他の市民の投稿もアプリ上のライムラインに流れるため、SNSのようなアプリだという印象を受けました。

 

そもそも市民はそこまでしてまちに関わりたいのかという疑問

しかし、ここで一つ疑問が浮かびます。たしかにこのアプリは地域の問題を解決できる素晴らしいものですが、このアプリを使いたいと思う市民はどれほどいるのでしょうか。個人的な感覚ですが、そういう市民は数パーセントしかおらず、そんな市民の人たちでも常日頃からこのアプリを使い、長期的に利用してくれるとは考えづらいです。そこで、長期的に利用したい気持ちになってもらうために重要なのが、市民の人たちが喜んだり、楽しんだり、誇りに思ったり、愛着を持ったりすることで地域にエンゲージしてもらうという考えです。そのために魅力的なコンテンツづくりを短期的ではなく長期的に自治体が行うことが重要です。

 

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市民がエンゲージしたいと思うコンテンツを考える

エンゲージとは、消費者自らが積極的に企業や製品の情報に触れ、長期的に企業との関係を築いていくことです。IT広告業界ではすでにこの考え方はスタンダードでありますが、まだまだ都市コミュニケーションの分野で施策レベルでの実践はされていないという現状です。

シビックプライド研究会メンバーの読売広告社都市生活研究局局長の榎木元 氏は書籍「シビックプライド~都市のコミュニケーションをデザインする」の中でデジタル化による都市コミュニケーションの方向性を以下のように説明しています。

“市民が積極的に都市情報に巻き込まれ、都市と約束を交わし、都市と幸福な絆を結んでいくことが、目指すべき都市コミュニケーションの最前の在り方である。すなわち、人と都市がエンゲージメントした状態を創りだすことが、都市コミュニケーションの目指すべき方向である。”

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私たちはSNSやスマートフォンの発展のおかげでどこにいても誰とでも繋がることが可能になりました。では、その環境の中でエンゲージしてもらえる魅力的なコンテンツとはなんでしょうか。ここでいうコンテンツとは、新しく地域の魅力を作り出しコンテンツ化したモノやコトではありません。重要なのは、コンテンツの中にシビックプライド(市民の愛着や誇り)が見受けられるか、それが市民がエンゲージしたくなるコンテンツを作れるかのポイントになってきます。そしてシビックプライドは私たちが思っているモノやコトや場所だけではなく、意外な場所に存在します。それを知るには、市民の人たちの声に耳を傾けるシビックリスニングという概念が必要になってきます。シビックリスニングの手法や魅力的なコンテンツの具体的な考え方に関しては今後のブログの中で綴っていければと思います。

 

終わりがない未来への挑戦

図3「口だけで終わってしまった。申し訳ない」とインタビューでこたえた本田

ブラジルW杯中、実況が口にしていた「日本らしいサッカー」とは何でしょうか?世界に出たときにパスサッカーならスペインが、ドリブルならブラジルの方が格が上だと感じると思います。では世界から見たとき日本らしいもの、その地域らしいものとはなんでしょうか。それを見つけ、それに焦点を当てた取り組みを行うことで、世界中の人たちがその地域に魅了され、もっとその地域を好きになる、行きたくなる、応援したくなる。そんな取り組みがもっと日本で増えればと思います。

図4長友を励ますインテルチームメイトのコロンビア代表グアリン

 最後に、日本代表のメンバーは、サッカーに関わる全ての人は、また4年後に向かって歩き出します。それはまちづくりと同じように終わりがない旅であり、けれどもあっという間にそのときを迎えるものなのではないでしょうか。世界と比較したときに自分の立ち位置を理解する。その上で、私たちが今の時代において、日本の都市や地域に出来ることを模索し、行動していければ日本は少しずつ変わるのではないでしょうか。

最後まで読了頂きありがとうございました。

大崎龍史(オオサキリューシ)
Facebook : Ryushi Rocky Osaki
Twitter : RyushiOsaki

参考
Engaging Citizens to Create Better Cities (New City Fundation)
An App To Share Civic Complaints Gains Popularity Where The Government Hasn’t Been Listening(Fast Company & Inc )

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