日台縦断 鉄道スタンプラリーがなぜ企画として成立するのか?

Screenshot_34

最近中吊り広告を見て衝撃だった「日台縦断鉄道スタンプラリー」。

日本の鉄道3社(西武鉄道、京急電鉄、JR東日本)と台湾の鉄道1社(台湾鉄路)が両者社会発展および鉄道事業の発展および鉄道同士の関係性強化を目的として、実施されているみたいです。(実施期間は2015年8月25日から2016年8月31日)

スタンプラリー詳細をググってみると、日本・台湾両者の地域社会の発展、各社局の事業の発展を目的として、西武鉄道、京急電鉄、JR東日本がそれぞれ台湾鉄路との関係を強化する協定を締結したことを記念して実施するスタンプラリーです。ちなみに、スタンプラリーの景品はトートバッグ先着2,000名。(日本:1,000名、台湾:1,000名)

jt_stampbook03

言い換えると、日本と台湾の鉄道会社かコラボして、台湾と日本の鉄道をめぐってスタンプを集めたらトートバッグプレゼントしてあげるよという企画です。

「ちょw これ誰がすんねんw 」

「ハードル高すぎて、そもそも企画として整理してへんやんw」

「ハードル高い割にインセンティブがしょぼすぎw」

といった感じで、いわゆる2ちゃんねらーやTwitter民が喜ぶネタだと思っていたのですが、なんとTwitterでやってる人がそれなりにいてさらなる衝撃を受けました。多分普通のマーケッターやプランナーだと正直信じがたいかもしれません。。。

以下、参加者のツイートを拝借させていただきました。

なんと、実際にコンプリートしている人まで。

誰がこの企画のターゲットなのか?

超熱狂状態にあり聖地巡礼もしてしまうようなアイドルやアニメ好きならその土地にわざわざ訪れることはあっても、一般的な人たちはよほどのことがないかぎりこのスタンプラリーをきっかけに訪れることはありません。

そして、今回の企画内容的には鉄道好き、いわゆる鉄ちゃん狙いなのかなと思ったのですが、実際にやっているのはなんと女性で、しかもTwitterのプロフィールを見る限り、普通の女の子なんです。(言葉に語弊があるかもしれませんが、別にアイドルやアニメ好き、鉄ちゃんのことを否定しているわけではありません。)

もちろん、台湾は親日派が多く日本にとっても身近な存在としてお互いの国への観光人口は多いという背景があります。しかし、観光の切り口で、このスタンプラリーをきっかけに台湾に訪れることはまずありません。下のマーケティングファネルでいうと左側の施策としては失敗な施策だといえます。

Screenshot_31

しかし、スタンプラリーは観光体験向上および観光体験の拡張において、実際に訪れた層やリピーターにとっては非常に有効な施策になると考えられます。まさに、下のマーケティングファネルのように観光や宿泊で泊まっている層に対しての施策として位置づけることで生きる施策になります。

Screenshot_32

何度も言いますが、スタンプラリー事体がその土地にいくきっかけとしては成立しません。しかし、観光後にスタンプラリーをもとに旅行をしてみよう、その地域を巡ってみるのも悪くないと考える人はある一定層いるかと思います。

観光だけでなく他にも音楽フェスといった非日常体験は、”ついでだから”や”せっかくだから”という文脈を作り出す余地が非常に多く存在します。「せっかく観光で来たんだし、あの温泉でも入って帰るか」、「せっかく来たんだし、ライブグッズを多めに買っておこう」

つまに、今回のスタンプラリーは、台湾に訪れた人に「せっかくだし」「ついでだから」という文脈を作り出し、観光客にスタンプラリーをもとに地域を巡る動機付けをしてくれたといえます。

ここで言いたいのは、上記のような戦略に基づいていれば、一見失敗のように見える企画も、実は目的によっては成立するし、成功したと言える施策だと言えるのではないでしょうか。

1200年続くスタンプラリー

最後に少し脱線して私自身の経験をお話させてください。私は、学生時代を四国香川県で過ごしていたため、最後大学4年生のときにお遍路をやってみたことがあります。そして、今思えばお遍路は1200も続くスタンプラリーなのではないかと思います。

1926924_277612192403363_712955014_n

お遍路は、弘法大師空海が定めたお寺八十八ケ所を巡るといういわゆる苦行体験です。最近では、自動車やロードバイクで巡る人もいましたが、昔は自分の脚で巡っていたため、数ヶ月もかかったと言われています。

そして、納経書に各礼所オリジナルの奉納とスタンプをしてくれます。実は、これ集まっていく過程がめちゃくちゃ嬉しいです。

そして楽しみはこの納経だけではありません。数ヶ月めぐる中、途中讃岐国ではうどんを食べ、土佐では鰹のタタキに舌鼓を打ち、伊予の国では温泉に浸かりお遍路の疲れを癒すといった観光体験も合わせてします。

そして、今ではお遍路は四国という地域内での観光体験の向上および、新しい観光エンターテイメントとして定着し、地方にある遊園施設の売り上げを超える経済消費を生み出すスタンプラリーまで成長しました

Screenshot_33

もちろんここまで四国を一つのエンターテイメント施設として捉え、お遍路というスタンプラリーを浸透させるのに時間はかかったと思います。だからこそ、今ではお遍路自体が四国に訪れるきっかけにまでなったのです。

今回の「日台縦断鉄道スタンプラリー」も戦略なき施策ではお金の無駄遣いに終わってしまうかと思います。しかし、もし今回の取り組みを含めて腰を据え、長期的かつ戦略的に実施を続ければ、お遍路のようないわゆる文化やムーブメントを作り出すことは可能なのではないでしょうか。

幸いにも政治レベルでも国民レベルでも日本と台湾の関係は友好で、コンテンツとしての土壌は整っています。オリンピックという追い風も吹いています。

単なるスタンプラリーではなく、文化の萌芽となることを願ってひきつづきこの取り組みの展開を楽しみにしています。

最後までお読み頂きありがとうございました!

大崎龍史(オオサキリューシ)
プロフィール
Facebook
Twitter

このエントリーをはてなブックマークに追加
Share on LinkedIn
Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です